『ヤマザキマリラジオ』釈徹宗さん回が濃すぎた!地理と歴史から読み解く宗教と「本当の知性」

『ヤマザキマリラジオ』釈徹宗さん回が濃すぎた!地理と歴史から読み解く宗教と「本当の知性」

チャッピーが作った図解まとめ↓

先日、NHKラジオで放送されている『ヤマザキマリラジオ』を聴きました。

画家・文筆家・漫画家のヤマザキマリさんが、会いたいゲストを迎えて素敵なハスキーボイスでマシンガントークを繰り広げる大好きな番組なのですが、今回のゲスト・釈徹宗(しゃく てっしゅう)さんとの回が、あまりにも濃く深く、すっごく面白かったので要点をまとめておこうと思います。

ゲストの釈徹宗さんは、現役の仏教のお坊さんでありながら宗教学者でもある方。昔、NHKのお悩み相談番組に出演されていたのを覚えている方もいるかもしれません。とっても声が優しくて素敵なお坊さんです。

普段、日本で暮らしていると「宗教」の話ってどこかタブー視されがちで、じっくり聞く機会は少ないですよね。けれどお二人の対話を聞いていると、宗教は生まれるべくして生まれた「ホモ・サピエンスには欠かせない概念」なのだと深く納得させられました。

今回は、私が特に感銘を受けたポイントをピックアップしてご紹介します。

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人間には「つながり」と「かけがえのなさ」の二本立てが不可欠

釈徹宗さんいわく、人が「明日も生きていこう」と思えるのは、大きなつながりを感じた時だそうです。

歴史や未来、その場の空気感など、「自分が大きな流れの1つなんだ」と実感したときに、人は一人じゃないと感じ、生きていたいと思える。

それと同時に、「自分がかけがえのない唯一の存在である」という認識も同じくらい大切。自分という存在に徹底的に向き合い、感性を磨いていくこと。この2つの軸(二本立て)が人間には不可欠なのだと語られていました。

これには心の底から納得! 先祖や子どもたちとの繋がり、今を共に生きる人との繋がりを感じること。探求し、誰にも代えられない唯一無二の自分を大切にすること。私も無意識のうちに、いつもこの2つを求めている気がします。

海外の「倫理」と、日本の「道徳」の違い

中東の砂漠地帯で暮らした経験を持つヤマザキマリさん。あの過酷な環境を肌で知っているからこそ、「あの厳しい地から三大宗教が生まれたのはすごく納得できる」とおっしゃっていました。

釈さんも「何も持たざる者が苦難の人生を生き抜くたった1つの方法は『信じること』であり、一神教ほどその力が強い」と解説されます。

そうして生まれた宗教が世界へ伝播していく中で、東の端っこに位置する日本にたどり着きます。周りを海に囲まれ逃げ場がない日本列島では、一緒にいる人たちと折り合いをつけて生きていくしかありませんでした。結果として、「世間」というルールに従う社会がつくられていったのです。

  • 日本の「道徳」: 共同体がベース。その場の空気や関係性を壊さないことが目的。
  • 海外の「倫理」: 神様(絶対的な基準)がベース。人が見ていなくても正義に従って行動することが目的。

環境や地理が「人類の思想」をつくる

これを聞いて思い出したのが、名著『銃・病原菌・鉄』です。 なぜヨーロッパが世界を征服できたのかを「人種の優劣ではなく、環境や地理的要因」から紐解いた本ですが、今回のラジオと完全にリンクしました。

  • 豊かな土地による食料の安定生産
  • 家畜由来の感染症への免疫
  • 余剰生産から生まれた金属・船舶技術
  • 東西に横長で技術が伝播しやすかったユーラシア大陸の気候

生まれた土地の環境や気候が、人間の思想、宗教、行動のすべてに絶大な影響を与えている。「環境が人間をつくる」というのは歴史の真実なのだと改めて感じます。

イタリア人の「冷めたカトリック観」という衝撃

面白かったのが、ヤマザキマリさんの10代でのイタリア留学エピソード。

現地に行く際、日本の神父さんから「自分はカトリック教徒である」という証明書をもらい、イタリアの教会で見せたところ、現地の人々に「なんだそんなもん!捨てちまえ!」と笑われたそうです(笑)。

2,000年のカトリックの歴史を持つイタリアの人々は、宗教が時に権力やおカネと癒着し、自分たちを裏切ってきた歴史を肌で知っています。だからこそ、宗教をどこか冷静・客観的に捉えている側面があるのだそう。

けれど同時に、カトリックの価値観は彼らの血肉として深く浸透している。この絶妙な距離感には、釈徹宗さんも驚かれていました。

「モナリザ」の傑作たる理由と、異文化の境界線(インターフェース)

番組内では、芸術や心理学にまつわる人間のクリエイティビティについての深いお話もたくさん飛び出しました。

  • モナリザが「傑作」と言われる理由: 「右脳」と「左脳」の間に立ち、その両方を同時に刺激して結合を生むような作品こそが傑作となる。
  • 境界線(インターフェース)の面白さ: 東と西の文化が混ざり合う土地のような「異質なものが交わる境界線」にこそ、最も新しく、クリエイティブで、時に怪しいエネルギーが生まれる。
  • 認知的不協和とカルト: 予言が外れた時、人は自分の間違いを認めるのではなく、心の矛盾を解消するために逆に頑なになり、カルト化していくという心の仕組み。
  • 日本人の宗教観: 「偶像崇拝」や「子どもの神様(お地蔵さんなど)」を好む、日本独特の親しみやすい宗教感覚。

どれも目からウロコのお話ばかりで、人間という存在の面白さを多角的に実感させてくれました。

2世代、3世代にも及ぶ暴力への違和感(核兵器と戦争)

番組の終盤、争いが起こり始めた歴史についての話題の中で、釈徹宗さんが語られた言葉が深く胸に刺さりました。

「核兵器にしても、地雷にしても、2世代、3世代にも及ぶ暴力を残す。これはいくら何でも間違っている」

まさにこれなんです!私が原爆の話などを聞くたびに、どうしても拭えない理不尽さの正体はこれでした。

今を生きる当事者だけでなく、戦争とは何の関係もない次の世代、さらにその先の未来の子どもたちにまで苦しみを残すような兵器は、どう考えてもおかしい。戦争も、核兵器も、断固として反対だと強く再認識させられました。

「グラデーションを豊かにすることこそが知性」

そしてもう一つ、私が涙が出そうになるほど痺れたのが、釈徹宗さんの次の言葉です。

最近の社会はすぐに極端な方向へ意見が振り切れてしまいがち。SNSの力で、昨日までの少数派が明日には多数派になるような「白か黒か」のグラデーションのない世界になりつつある、というお話の中で——

「このグラデーションを豊かにすることこそが『知性』だ」

白か黒か、敵か味方かという二元論で片付けるのではなく、その間にあるいくつもの条件、環境、背景、事情を知り、想像力を働かせること。白と黒の間に広がる豊かなグラデーションを見つめることこそが、本当の「知性」なんだと。

「本を読みなさい。活字を読み、想像力を鍛えなさい」

お二人からのこのメッセージを胸に刻んで、今日からまたたくさんの本を読み、広い視野で世界を見つめていきたいと思います!素晴らしい番組に感謝です。番組に感謝です。

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