「要約」お母さんみたいな母親にはなりたくないのに

お母さんの過干渉に悩まされながら育った作者が、自分の娘の育児に悩みながら向き合うコミックエッセイです。

「お母さんみたいな母親にはなりたくないのに 田房永子」

この作者のすごいところは、自分と母親が似ていることをちゃんと認めて

何とか自分がパートナーや子どもに同じことをしないように、手あたり次第必死に努力するとこ。

精神科に行ってみたり、セラピーに通ってみたり、様々な本を読んでみたり、講習を聞いてみたり。

さらに、母親になると無条件に受け入れざるを得ない独特の世界(「社会のB面」と表現されています)への違和感をちゃんと感じ取って表現されてるのもすごいなーと思いました。

私は、なんとなくそういうものかーと流されて受け入れちゃったから。

たとえば、妊娠を経験しないとまず耳にすることのない「会陰マッサージ」(出産時に裂けるのを防ぐため、事前にあそこをマッサージして柔らかくしておくこと)とか

他人に(プロですが)乳首やお股を触られたりすることとか、毎日小さな命を必死で守り抜く日常とか、漏れるおっぱいとか。。

TVやニュースで取り上げられる、一般の社会(A面)では語られない世界が、そこにはあります。

でも、妊娠中は多くの人は働いてるので、そのA面とB面を行ったり来たりしながら、なんとか折り合いをつけて生きているのです。

言われて気付きましたけど、このB面って社会にとって、絶対に必要なのに、なぜかないものみたいに隠されてるというか、語られないんですよね。

公に言ってはいけない世界みたいな…別に大声で育児の大変さをアピールしなくてもいいけど、もっと自然にB面がA面に出てきてもいいのに。

子どもも男の人も、いつか知る必要になる世界なら、隠す必要なんて全然ないのにね。

まぁ、とにかく作者のお母さんは、この社会のA面ばかり気にして(つまり世間体ですね)

私立の学校を無理やり受験させたり、友達と楽しく過ごすことは許さず、自分との旅行を強制したり、理不尽に怒ったりしてきたわけですが、その怒り方が今の自分にそっくりだと気付いた作者さんは、母親のようにならないために必死に努力します。

その工夫をまとめた本書でいいな!なるほど!と思った点を簡単にまとめます☆

■自分が健康でいられる範囲で相手と接する、それが一緒に生きていくということ。

 流産を経験した作者は、文鳥のお世話にのめりこみますが、いざ元気に飛ぶようになると「飛ぶな!」と思ってしまいます。これは、自分を困らせないで、心配させないで、自分だけ幸せにならないで!という、自分の母親の心理と一緒だということに気づきます。

一緒に生きていくためには、まず相手の世話ができるよう自分が健康じゃなくてはいけない!

相手の生きる力を信用して、自分ができる範囲でお世話する距離感でいいのです。

これって幸せにも同様のことが言えると思います。まず、自分の人生を幸せに、充実したものにすること。子どもの人生は、子ども自身が幸せにするので、そこは親が介入するところじゃないのです。

だから、子どもの幸せが自分の幸せってのもちょっと違うなと思うのです。

だって、別の人間ダモノ。自分の幸せは自分で築きましょう。

■短所は長所!良い方を言ってあげればいい

「ズボラ」は「大物」、「わがまま」は「自分の意見を持ってる」、「引っ込み思案」は「危機管理能力に長けてる」

親だとつい将来が心配になり、ネガティブな方を見てしまいがちですが、特徴には両面があります。

良い方を言ってあげればいいんです。どうせなら。

私もつい子どもに「わがままだなー」とか「全然片づけないんだから!」とか言ってしまいますが

「はっきり意見が言えるね」とか「色んなことに夢中になれるね」とか言ってあげればよかった。

いったん認めてあげると、子どもの態度って如実に変わってきます。

誰だって自分を否定されたくないですよね、まず認めてもらえないと変えられるものも、変えられない。

■アドバイスには「私は」をつける!子どもを侮辱しない!

よく子どもを連れていると、「今が一番可愛いときねー、これから大変よぉ」みたいに言われることがあります。

1歳の頃には、3歳が、3歳の頃には5歳が、5歳の頃には7歳くらいが大変になると言われるのです。

なんじゃそら!ずっと大変じゃん!

別に、今育児をしている人を無駄に不安がらせる必要なんてないでしょ。

だいたい、その子は違うかもしれないじゃん!ということで、将来、新米ママさんに経験を語ることがあったら「私は」こうだった、と主語を付けようと誓うのでした。

そして、そういう人にありがちなのが、自分の子どもを侮辱すること。しかも無意識に。

「うちの娘、彼氏いたこともない」「男性経験もない」「いい人いないか私が探してる」

そんなこと他人に言うの、いくら自分の子どもでも失礼です!

子どもはあなたの所有物ではないので、まとわりつくのは止めて、お互い自立しましょう。

そういう親にはなりたくないものです。。

■子どものわがままは、好きなものを「好き!」っていう気持ちよさ、自分を納得させてよ!という気持ちからきている

保育園の保護者会で、保護者同士でペアになり、子ども役と親役に分かれます。

一方が、普段自分の子どもの困っている行動を再現してみるというユニークなエピソード。

そこで、子どものいつものパンツじゃなきゃイヤだ!というわがままを体験してみた作者は、

大人を困らせると温かくて、気持ちいい。好き!って全力でいう快感を実感します。

そして、2枚履いてお行き!という予想外な提案で、すんなり受け入れられた!という実体験から

子どもは、わがままで「洗濯中だから無理なの」というもっともな理由より、

自分を気持ちよく納得させてみてよ!と訴えているのだと気付かされます。

私も、子どものわがままにぶつかったとき、何度、合理的に説明しても一方通行なのを痛いほど経験しました。

子どもはそんなこと、分かったうえで、自分の考え浮かばない代案を大人に求めているのかもしれません。なるほど…私ももっと柔軟になりたい!

■社会にもB面があるように、個人にもB面がある。子どものB面を認めてあげよう!

冒頭の、社会のA面、B面のように、個人にもB面があります。

自分の好みだったり、感情、くせ、喜び、悲しみ、こうしたいという希望。

これが、ときには社会のA面と折り合いが悪い時も。

作者のお母さんは、作者のB面を社会のA面に、無理やり合わせようと強制しましたが

作者がしてほしかったのは、自分のB面を「それでいいんだよ」と認めてもらうこと。

もちろん、私も自分の子どものB面を認めてあげたいと思っていますが、大事なのはそのバランス。

子どもも私も社会で生きていくわけですから、社会のA面を無視しては生きていけないわけです。

なので、社会のルールや、法律、マナーなどを守りつつ、子どもの個性も認めてあげる。

A面とB面の間に立って、バランスを取り続ける必要があるのです。

どっちかに倒れていたら楽ですが、それでは、毒親や社会不適合者となってしまいます。

この、バランスを取り続けるには、パートナーや周りの協力が不可欠!

助けが必要な時には、ちゃんと「助けてー!」と叫び、つらい時にはワンワン泣いて、完璧じゃない、みっともない母親でいる。これが大事。

■自分のバリアを外して、世間に助けてが言えるようになろう!

世間体ばかり気にしていると、外にSOSが出せず、どんどん自分の中で無理が溜まります。

そうした歪みはかならず、どこか(主に弱いモノ、子ども)に向けられることになってしまいます。

別にみっともなくったっていいじゃない!恥をかいても死ぬわけじゃないし。

助けてー!苦しいよー!と外に向かって言えるようなりましょう。

そして、こういうSOSをちゃんと受け止めて、ケアしてくれる社会であってほしいですね。

どうでしたか?

悩みながら、自分と向き合った田房永子さんのエッセイ。

参考になる部分がたくさんあったのではないでしょうか?

女児向けアニメと、少年マンガ、エロマンガ、そして行政(笑)の絵が、最近は似すぎてきて

さらには、コンビニで並んで売っていて混乱する!という笑える話も載っているので、ぜひ読んでみてください!

コメント

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